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たっけのメモ

恵比寿でバーテンダーやりながら、早稲田の学生してます。

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流れ星になった彼女

シナリオ 小説

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僕はふと、満月の空を見た。すると、流れ星が「すーーーっと」綺麗に流れた。僕は「あの星はミナだ」と感じた。もうミナに会うことはできない。そう考えるとまたとても悲しくなり僕の目から涙が溢れかえった。どうしてどうしてと。

 

あの夜は君があまりにも激しくキスを求めてくるから、僕はわざと嫌な顔をしたんだ。

実はね、ものすごく嬉しかったんだけどさ。ほらわかってただろう僕がすぐ照れ臭くなってしまうのを。

ミナは僕に、「嘘でもいいから好きって言って」ってよく言うよね。その言葉を聞くたびになぜ嘘の好きを言わなければいけないんだろう?ってずっと思ってた。

それでもずっとずっと求めてきた。

 

僕たちの関係は彼女でもなく、セフレでもなかった。ミナは欲望のままに僕を求めてくるけれど、僕はそうではなかった。

もともと僕は友達が多い方ではなく、一人でいることがすごく多い。僕は別に人間が嫌いなわけではない。人に何か頼む時、とても気を使いすぎてしまってなかなか頼めないんだ。

「明日空いてる?」って言葉さえ伝えるのに億劫だ。

だから妙に一人でいる時が落ち着く。でも、一人が嫌な時だってある。そんなとき君が現れた。

 

ミナと出会ったのは、恵比寿駅の恵比寿ガーデンプレイスまでのながーい歩くエスカレータだった。ミナは歩くエスカレータに立っていた。僕は急いでいたので歩いていた。

ミナの横を通り過ぎようとした時に、iPhoneを持ったミナの右手が高く伸びてきて、僕の顔にぶつかった。そしてiPhoneが前に落ちて画面が割れてしまった。

 

僕は謝った。お兄さんかっこいいから、修理するところまで一緒についてきてくれたら許してあげるって。

 

次の日曜日、渋谷のハチ公前で待ち合わせて、Apple Shopに向かうことになった。

その日のランチは野菜だけの水分で作られているケニックカレーへ。

「ここのカレー今まで食べたカレーで美味しい」とミナは喜んで食べていた。

 

ミナが店を出て、次はおしゃれなカフェに行きたいっていうから、ミクロコスモスに連れて行ってやった。ランチタイムはすぎてしまっていたので、二人ともアイスコーヒーを頼んだ。

ミナはどうやらコーヒーが苦手だったらしく、「にがいよこれ♡」って言ってた。それはお世辞抜きにして可愛かった。

 

2時間くらい話していた。僕はふと外を見ると夕日が落ちていた。どうしても行ってみたいバーがあるので二人は恵比寿に向かった。

 

渋谷から恵比寿まで明治通り沿いに歩いて20分くらいで着く。いい散歩の時間になった。そして、僕が安くて気さくなオーナーがいると聞いていた恵比寿のバーVEGaについた。オーストラリア人の男性と日本人女性の夫婦でやっているバーのようだ。チャージも消費税もなくワインは600円から飲める。

ミナに「ボトルでいい?」と聞いて「うん」と答えてくれたので、赤ワイン初心者でも飲みやすいピノノワールを頼んだ。気さくなオーナーの女性との会話を混ぜ合わせながらとても楽しい時間を過ごした。

 

お店の外でオーナーに「また来てね」って笑顔で見送られた。僕たちとミナの手は自然とつながっていた。「恵比寿神社でお祈りしよっか」とお祈りしたのち、僕たちは女性にも人気の高いラグジュアリーなラブホテル、HOTEL LUXEへ入っていった。

 

その夜から僕たちの関係は始まった。それから1年後の今日の夜もお互い体を混じえた。しかし、あの夜はいつも以上にミナが僕を求めてきた。それは自然な感じで求めるものとは程遠い、異常なまでな感じだった。しかもミナはとても寂しそうな顔をしている。混じえていた最中にミナの目から涙が溢れたような気もした。

「なぜなのか」わからなかったが、僕はその疑問を心の奥にしまった。

 

ミナは次の日の夜、家のベットで吐血をして、救急車で運ばれた。そして、お母さんとお父さんに優しく見守られながら帰らぬ人となった。

 

僕は、昨日のことが気になってミナにLINEの電話をかけた。するとミナの声に似ているが少し低い女性が話した。

 

お母さん「どうもこんばんわ。私はミナのお母さんです。電話をかけて下さってありがとうございます。あなたの話はミナから聞いていますよ。

 

僕「なぜお母さんが出るんですか?

 

お母さん「ミナは先ほど死にました。」

 

僕「嘘だ。何を言っているんだ。ちゃんと真面目に答えろ。

 

お母さん「本当です。彼女は余命が1年と宣告されていました。余命を宣告された次の日にあなたと出会っていたのです。そしてミナはあなたに恋をした。自分の病気に負けるミナではなく、あなたに恋するミナとして人生を歩むことを決意したんです。本当にあなたには感謝しきれません。どんな治療法を選んだとしたって、死ぬことはわかっていた。ミナは今まで恋をしたことなんてありません。あなたがそう初恋の人。ミナの人生最後にして初めての恋心を抱かせてくださったのはあなたです。本当にありがとう。」

 

僕は、声を失った。昨日のミナの不自然な行動の理由を全て理解できた。

なぜ僕は、気づかなかったんだ。ミナは僕に自分の病気のことを隠してずっと向き合ってくれていた。

僕は何も考えられなくなった。泣き叫ぶことしかできなくなっていた。

 

 

次の日の夜、流れ星を見た。すると誰かが肩を叩いた。振り返るとそこにはミナがいた。ミナは口を開いた。「私に一年間恋心を抱かせてくれてありがとう、あなたのことが本当に好きでした。本当にありがとう。ミナのこと忘れちゃいやだよ。心の中にはいつまでもいるからね。」と最後に僕にキスをした。

 

ミナは嬉しそうな表情をしながら、消えていった。

空を見ると、満月が空一面い光っている。